RAYと大学生との対話(後編その2 最終回)

後編その1からの続きです。

RAYとゼミ生との対話の最終回になります。

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【インクルーシブな環境】

RAY)僕は学生の人とゆっくり話機会がないので、僕たちはボランティアの人はいるのですが、こんな時間を過ごすことが無いです。どうしても何かを手伝ってもらうだけなので、ゆっくりこうやってただ話すということが無いので、もちろん筆談の通訳がいないと出来ないことだし、こんなふうにあまり年齢の違わない人と話すことがないので。

先生)今年いくつだっけ?

母)22歳で今年23になります。

先生)じゃ本当に同じだね。あ、一つ下だね。D君は2000年生まれで同じ歳だね。

やっぱり少ないんだね。

 

RAY)はい。どうしても通訳がいないとどうしても僕と話せるとは思わないので。こんなふうに話すことがないのでとても嬉しいです。僕がこんなふうににこやかにするのは珍しいので、みんなみたらびっくりすると思います。なかなか同世代と話すなんて無いのでとても嬉しいです。Wさんは一つ上なのは理由があるのですか?

 

男性2)一年休学してて。悪性リンパ腫という病気で。抗がん治療を1年くらいしてて。もう3年くらいかな。二十歳のときに。

先生)池江璃花子と同級生でかつ同じ時期に。

男性2)はい。池江りかこも白血病で。そうですね。同じような血液の病気で。

RAY)びっくりしました。じゃとてもつらかったのではないですか?

僕たちの仲間はいろんな障害の人がいるのでそういう場所の治療を受けている人もいるのでよく健常児で病気で苦しんでいる人の話も聞きますが、突然そういう状況になるので大変だと思いますが、僕たちはどちらかというと小さい時からずっとこういう感じなので、苦しみ方がちょっと違うと思います。池江さんのことは本当に大変なんだろうなとみていたので、僕も年齢がおんなじなのでとんでもないスピードの選手だったのに、また復活してきたので、どんなにつらかったんだろうと思いました。同じ時期になって同じ時期に回復したなんて珍しいですね。いろんな人が先生の周りにいたのは知っていたけど、いろんな話を聞けるのは面白いなと思います。先生のところの学生は割とちゃんとした自分の世界がある気がしたのですが、まさか駅伝をやっている人までいるとは思いませんでした。驚くばかりですが、僕はなかなか話せないので、先生ぐらいじゃないとこれだけ通訳出来ないので、先生がいるときが人と話すチャンスなのですが、とても愉快です。

 

そういえば、この間僕の絵の展覧会があって、そのときに先生になんとギターを弾いてもらったのですが、母がヴァイオリンを弾きましたが、つくづく母も先生もやっているのが不思議になりました。自分の世界を持ってて自分の世界を大事にするのが驚きました。

僕は評価が出来ないのでわかりませんが、そういうところで違う先生を見たのはびっくりしました。不思議な感覚になりました。皆さんも自分の世界に入っているときはすごいんだろうなと思いました。

是非これを知りたいのですが、小さいときは何をしていたかを教えてもらっても良いですか?小学校の低学年のころです。何が好きでしたか?

女性)水泳選手をやっていたので、水泳のスクールとピアノしか行ってなかったので、週5で水泳をやっていたので。それこそ1日10k泳いでいたので。低学年ではそれこそお母さんと一緒をみたりとか、弟と妹がいるので一緒にプリキュア見たりとか、おもちゃで遊んだりしたのが好きでした。

RAY)聞きたかったことが聞けて嬉しかったので、みんなの毎日が想像できなくて、そんなふうに小さい時を過ごしていたのが知りたかったことです。

男性1)ポケモンです。ゲーム。DSのゲームです。友達と戦ったり。

RAY)僕はDSをやる友達を羨ましくみていましたが、僕はやれなかったのですが、羨ましかったです。でもなんとなく生活が見えた気がして嬉しいです。

男性2)スポーツが好きだったので、野球サッカー水泳は毎週やっていて。一番うまかったのが野球だったので。大学に入った時はやっていたのですが、その後病気になったので。すごい痩せ細っちゃったんです。池江りかこはまた復活したじゃないですか。それはすごいなと思います。はんぱじゃない努力だと思います。自分は体が元に戻っちゃったので、もう一回筋肉をつけてというのは無理だなと思ったので、友達と遊びで草野球をやっています。

男性3)僕はそれこそ週1は水泳はやっていてスイミングスクールで週1時間だけで。それ以外は狂ったように外で遊びに行ってて校庭のグランドで野球をやったり、皆んなでわいわいやる友達とずっと外で走り回っている子だったので。地元埼玉で学校のグランドで走り回っていました。

先生)そういう話が面白いんだ。

RAY)はい。こういう話がずっと聞きたかったです。

母)支援級だったのですが、あまりインクルーシブではなくて、交流もなかったので。

RAY)あのころがとてもつまらなかったので、あのころみんなずっとどうしていたのかなと気になっていました。初めて聞けて良かったです。先生は覚えていますか?

先生)習い事0だったから。大分。野山を駆け巡って。ゲームも無いし。

RAY)先生は家の中で勉強してたんじゃないですか?

先生)してない、してない。

 

RAY)僕は幼少期全部奪われた気がしていて。どうしても幼少期の僕の生活はからっぽの感覚があってちょっとつらかったですが、別にお母さんも頑張っていたので、なかなか普通の幼少期が送れなかった感覚があって、こういう話を聞くとなんだかほのぼのして嬉しくなるので、また先生がいるときにいろんな話を聞いてみたいなと思ったけど。

関係のない話ですが、僕はこの障害のために色々失ったものがあるんで、もう一回この障害で生まれてきて良いかというという質問をされたらちょっとなと思うんですが、実は先生のところに来て一番ショックだったのは、僕たちの仲間で、若干強がりもあると思うのですが、もう一度生まれ変わってもこの障害で良いという人がいたので、僕は、それは仲間の大切な言葉なので、自分に引きつけて考えているのですが、なかなかそこまでは思い至らないです。

代わりにもう一回生まれ変わってこの絵を描けるならこの絵を描ける人生ならもう一回生まれ変わってもいいと思えるようになったけど、やっぱり障害というものをもう一回経験する気にはならなくて、この一つの例が失われた幼少期にあるので、もし生まれ変わったら今聞いたようなゲームをやったり、水泳をやったり、野球をやったりそういう人生を生きてみたいなと思うので。

僕はやっぱり失われたものがあると思うのでその経験をしたいなという気持ちを素直に一回言ってみたかったというのがあったので、そんな話ができて、ちゃんと考えることができて良かった。もしかしたら考えただけでなんだかその問題がちょっと自由になれた気がしました。こんな話はしないままでいたので、ずっと失われたばっかりに思っていたけど、確かに失われたけど、なんだか話を聞いたら、ほっとしてその人生を味合わなければいられないという感覚が少しだけ少なくなったのが面白いです。

【トイレのこと】

母)最近、外出先でトイレに行けなくなってしまって。

RAY)照れ臭いけど大丈夫です。我慢できるようになったのです。我慢ができるようになってきたのは最近気持ちが落ち着いてきたからです。学校時代はトイレに逃げないといられなかったのでしょっちゅうトイレに行っていたのでトイレが近いことになっていましたが、今はずっと我慢ができるようになったというか、トイレに行く必要がなくなったので全然意味が変わりました。

母)小さいときはずっとトイレにこもっていました。

先生)結構トイレに篭る子多いよね。

女性)はい、います。先生がずっとトイレについています。

先生)トイレって落ち着くって話、もっと教えて。

RAY)まず、人がいないのはとても楽ちんですが、あとはやっぱり自分一人の場所にいることにとても意味を感じるのでどうしても一人になりたくなります。誰かが入ってきたらもうおしまいなので、先生に入られたら、さっさと出たくなります。

母)外出先で行かないのはあまり好きではないからなのかな。

RAY)僕は行きたいときは行っています。基本的にトイレはすきなので。いつでもいけるけど、行く必要がなくなったということです。

母)良かった。聞けて。

最近、アート展をやったことで、色々お声をかけて頂くことが増えました。

RAY)僕も社会に出るのが夢だったので、僕も商品として社会に出るのは嬉しいけど、ちょっとだけ居心地が悪いのは、僕は芸術家ではないので、芸術家っぽく言われると違うよなと。僕は僕のできることを精一杯やっているだけなのでそれをそのまま評価してくれると心から嬉しいけど。

ときどき芸術家っぽく言われるとそれは多分違うし、芸術家の人に失礼だからやめてくれという感じがあるのですが、とにかく僕が描いた絵を素敵だねと言われるのは大変好きですが、僕を素晴らしい芸術家だというのはそれは絶対違うので、僕は絵を評価されるのは大好きですが、僕はただの自閉症ですよと返したくなることがあります。

とにかく絵が好きですと言ってくれて、僕の絵が、いろんな人に見てもらえるのはとても嬉しいというのは間違いがないです。先生のところにくると色々言いたくなるので、僕は芸術家ではないとはっきり言いたくなります。

母)最近、文字が面白いと言われることが多いです。

最近、守本早智子さんの勉強会に出てから、触らせてもらえるようになって、◯×ができるようになりました。

RAY)先生のときは話そうという気になるのですが、守本さんのときは練習しようという気になったのです。

母)親の方も心がまえができたというか、やらせてじゃなくて、やっても良いですか?という感じでやらせてもらうようになったのでその辺のあつかましさがなくなったのでやらせてくれるのかなと。

みなさんは指談はできますか?

RAY)ちょっとだけでも良いのでやらせてもらえませんか?僕は筆談のコツを教えるのではなく、筆談のときの雰囲気が好きなので、ちょっとやってもらっても良いですか?

(指筆談実践)

男性1)たしかに「ごはん」って書いています。すらすらって書いてて。ありがとうございます。

この後もゼミ生の皆さんと指筆談が続きました。

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普段、人に触られることが苦手なRAYですが、ゼミ生の皆さんと嫌がることなく、にこにこと指談体験をしていました。

同年代のゼミ生とインクルーシブな素敵な時間を持つことができました。ただただ感謝です💕💕💕

(終わり)

 

 

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