RAYと大学生との対話(中編)
RAYが國學院大学の柴田先生の研究室を訪れ、ゼミ生との対話をすることができました。
前編の続きからです。
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【ゼミ生の紹介】
RAY)ところで、皆さんは、自閉症の人と会ったことはありますか?
女性)
介助員されている。小学校支援級です。
男性1)
中学生の家庭教師をしています。RPM(Rapid Pronpt Methd)の指差しできるように。文字盤で指すことを支援しています。
RAY)
(RPMについて)僕は指筆談があるから良いと言いました。僕自身のことを理解してくれる人を探すことの方が大事かと思い始めたので、小さいときならやっても良かったけど、この年になってやらなくても良いかなと。それは新しい時代の後輩たちが頑張ってくれるとまた新しい世界が開けるかなと思います。
だって僕たちはもう僕たちが変わっていくのではなく社会が僕たちに合してほしいと思っているので、僕は小さい時ならそういう努力はしたけど今は僕の方が色々するのではなく、この僕を受け入れてくれる社会にすることの方が大事だと思うのでこのまま頑張ろうと思っています。
先生が一度、一人で指させるようになったら、もう少し信じてもらえるんじゃないと言われたときに、はっきりと、別に信じない人はどうでも良いので、このことを信じてくれる人じゃないとわかってもらえないことがわかっているので、そのことをあえてこっちから変わる必要がないと、あのときは言ったと思う。先生もすんなりそれを受け入れてくれたので、そのへんは、先生も、相当開き直っているなと思うけど。うまく話はできていると思います。
その中学生は是非頑張ってほしいと思っているし、その人がその人独自の世界が開けたら良いので、僕は決して反対ではなくて、僕はこの年齢なので良いと言うと思う。
先生)W君は自閉症の子と会ったりする?
男性2)あまりないです。
(学校の先生になる人です)
先生)こちらは駅伝の選手です。子供が好きな人です。
RAY)そういういろんな人がいるのが先生のまわりなので面白いです。ちらっと聞いていたので。今日はいろんな話ができるのが楽しみです。人に会った時に、僕が何を感じるかを話したいと思います。
【人の目を見て話すということ】
RAY)僕は人の目を見るのが苦手なので、これが結構、人から見ると変なやつだと思われる理由なのですが、目を見ることに関しては不思議な話で、どうしてみんなはそんなに目を見合うのだろう、と今でも不思議でしかたがないし、先生もよくその話をしてくれるけど。なぜか人間は目と目でいっぱい情報をやり取りするようになっているみたいですが、僕は小さいころから多分そういう経験をせずに育っているのだと思います。別に家族ではそのことを困っていないのですが、一歩外に出ると人は困るみたいで、どういう困り方をするかお話したいのです。
まず、僕が話を聞いているかどうかで困るみたいです。先生はなんのためらいもなく話しかけてくるので困っていないのですが、多くの人は、僕が振り向くまで、一生懸命僕が振り向くための働きかけをしてくるのですが、それが全然きかないので、それで諦める人と、振り向かせることを諦めて話をする人の2つに分かれるのですが。
大体の人は、話をすることを諦めてしまう人が多くて、それでも話かけてくれたら、この人はわかってくれそうな人だなと僕は思うようになりました。そして、話しかけてくれれば何故か僕が聞いているのが分かるらしくて、目を見てはいないけど、確かに話は聞いているという感覚になるそうなので、話すのをやめずにちゃんと自分の話を言ってくれるのでありがたいですが、その間も僕は話に耳を傾けているので、絶対に人の顔を見ることはないです。
だって、一生懸命、話を聞いているのだから、目をそちらに向ける余裕がないのが僕の考えなのですが、他の人は多分、その相手を見ないと話を聞いているという合図にならないから、必ず見ているらしいということも次第にわかってくるようになりました。
とにかく、僕は話を聞く時に人の顔を見ないという特徴があるので、これで相当損をしているのは間違いがないです。
でも前に、先生が健常者が何故人の顔を見るのかの説明の方がよっぽど難しいと言っていたのですが、まだその説明はつかないのですよね?
先生)
ついてないです。全然ね。不思議でしょうがないですよ。今この角度だから目がいかないから良いけど、3人の学生のうち、Kさん(女性)に目がいくと、見られた方は「あ、きた」と思うよね。これ以上の何もないから良いけど、これ本当にやっかいなんだよね、じゃなんでそんなに見るのかわからないし。見た後が大変。やっぱり、あるしきたりで、意味が生まれてしまうので。ある一定程度見たら特別の感情がでるのが困るんだよね。3秒ぐらいみたら、もう先生ちょっとやめてよ、となる。そのくらい不思議なんだよね。見なきゃおかしいと言われるけど、見続けてもおかしいし、なんでそんなこと小さいときからちゃんとやるのって、不思議でしょうがない。
RAY)
なるほど。でも僕は全然しないので、そのややこしさは実感がないのですが、見ないとだめだし、見続けるとだめなんて、僕たちには絶対にわからない世界なので、本当に不思議で不思議でしかたないです。とにかく、目を見ることについてはとっても損をしているので、目を見なくてもなんともないと言ってくれる人の存在がありがたいので、もし自閉症の人とあったら、目を見てなくても聞いているので、それをとにかく知っておいてもらえるとありがたいと思います。しっかり聞いているので、安心してしゃべってくれると僕らも安心できるということです。
そして、不思議なことに、そこに目に(風景が)見えてそこに目が止まることがあるのですが、そのときはまさに見続けるので、相手がびっくりするのですが、そのときの不思議さをいつも僕は思うのです。
僕たちが目を真剣に見続けるときは、目には風景が写っているのです。目を一緒懸命見ているときは目に写っている風景の方に関心がいくので、そのまま見続けてしまうのですが、他の人はやらないですか?
先生)
ほとんどの人はやらないよね。確かに、人の目の中には風景が写っているんだけど、SNSで、その人がどこにいるかを特定するのがあるけど、それは目に写っているビルの形で、その人の自宅を特定するのがあると聞いたことがあるけど。本当はすごい情報として写っているけど、我々は対人関係で使う余裕がないので、使わないけど。それが見えるということなんだよね。
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RAY)
そうなんです。だから目を止めてしまうと目に写っている風景が気になって、そこから目を逸せなくなくとやっぱり違う情報になるらしくて、僕のまわりでそれを怒る人はもういないですが、学校の先生でそれを怒る先生がいました。そんなに人の目を見るもんじゃないと一体どうしたんだろうと、僕も不思議で仕方がなかったです。だんだんいろんな人の説明を聞いて、僕が見ている目は、目そのものではなくて、目に写っている風景なのだということがわかって驚いてしまいました。じゃ、みんな何を見ているのでしょうか?
先生)
何を見ているんでしょうね。本当。目を見るというのは不思議なんですよ。目にうつる風景を見る余裕はない。相手が生きている人間なら目にうつる風景は見ないけど、止まっている写真だと目にうつる風景を見たりする。
RAY)
なるほど。やっぱり不思議なことがあるのでしょうが、そういう目を見る見ないをめぐっても、人間関係のややこしさがあるので、人間関係でとてもハンディを持っていることがあるかと思います。
僕はそれに加えて、上手に話せないのですが、話ができる仲間を見ていても、とてもつらそうで、言いたいことの半分も言えないどころか、言いたいこととは全く違うことを口にしているのが分かるので、自閉症の人は本当に大変だなと思っています。
自閉症の人ばかりではないのですが、自閉症の人の言葉が一番気持ちとずれているようにみえるので僕自身ときどき口にでる言葉は気持ちの言葉ではないので、こんな言葉ばかり口からでる仲間は大変だろうなと思うことがあります。
さっきの中学生の方はどうですか?
言葉はどんな感じで出るんだろう?
男性1)発語は無いです。
RAY)そうなんですね。しゃべれない自閉症の方が苦労が少ないということになります。しゃべれている人の方が喋った言葉に責任を取らされるので結構苦労しています。僕の場合は責任を取らなくて良いのでしゃべれない方が自閉所に限って楽なんだなあと思うことがあります。喋れる人の方が苦労するので人間関係ではよく思うことです。(後編に続く)