指筆談による言葉(その2)らいち君との対話

先日、柴田保之先生の研究室を訪問したことを、先日のぶろぐに書きました(その1)。

研究室には、来地(らいち)君とご両親にもお会いすることが出来ました😀

来地君とRAYは同級生、通信制高校で学ぶ来地君と、RAYとのアート対話を、指筆談ですることができたので、その対話を少しだけ紹介します。

今回の通訳は、らいち君のお父さんがして下さいました。

RAYは、柴田先生以外の人に通訳してもらうことは、触られることが苦手というRAYの障がい特性から実は難しいのですが、今回はなんと通訳をしてもらうことができました!

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RAY)

らいちくんは、今、「勉強」はどれが一番面白いのか教えてもらえますか。

僕は勉強というのについては、あまり動機がなかったので、絵のことしかやってないけど、勉強ってどんな感じなのか本人が感じているのか知りたいなと思ったからです。

(らいちさんのお父さんによる指筆談通訳をしてもらっているRAYとらいち君)

らいち)

勉強は今一番のやりたいことなんで、それは何ていうか、ちょっと僕の「生きがい」みたいなものになっています。

 

そして、勉強というのが、とくに僕の場合、僕のかもしれないが、自分だけでなく、いろんな人に関わってもらわないとできないという一見デメリットをみたいなのが、実はすごく困るのではなくて、楽しいとか、何か学生たちと一緒にやれているというのが、なんといっても楽しいというのがあります。それは楽しさというよりも何か一緒にやっていく面白さというやつは、僕の中にはあります。

正直いって、なかなか、僕のやりたい勉強が100%できているかというとそういうわけではないですが、自分としては満足しながらやっています。

それとこれからのことですが、僕は、大学進学もしたいと思っていて、ちょうど今月の21日に、障害のある学生の進学相談をやっている団体があるので、そこに行く予定にしています。

なので、僕は、目標ががちがちに決まっているわけではなくて、方向性がはっきりとしてきているのが、僕にとって嬉しいことです。

僕は、なかなか絵を描くこと自体が、自分の中ではイメージが湧かないので、RAYくんはすごいなと思っています。さっきのRAY君の話を聞いていて、やっぱり絵を描くという単なる絵を描くのではなくて、やっぱりそこにものすごいRAYくんの思いだったり、考えたりするものが表現として表されているというのはよくわかりました。

RAY君に、僕は聞きたいことがあります。「絵を描く時と、そうでないとき、絵を描くときは、普段と何かが違ったりしますか?」

RAY)

僕にとって、「絵を描くと」いうのは、言いたいことがあって、そのことを絵という形に表しているという側面があります。もちろん何かインスピレーションで描くというのは、ありますが、その中に、やはり自分の言葉を、「投影」しているところが、すごく大きくて、それが、表せたときは、とても嬉しいです。

(ここから柴田先生通訳)

RAY)

絵を描くきっかけは、普通の子が描くように幼少期に描き始めたのですが、だんだんこれしか僕には表現手段がないということにわかってきてから、そこにいろんな気持ちを込めるようになってしまいました。

「しまいました」という言い方は、結構悲しい涙の絵も描いたりしたので、つらかった気持ちも、絵に表現したりしていました。何だか、それは何だか悲しいだけになるときがあって、せっかくの表現なんだからもう少し僕の気持ちをいろいろ表現できたらいいなあと思っているうちに、いろんな全く違ったイメージが湧くようになって、それを絵にするには、最初の頃は時間がかかっていましたが、だんだん技術が伴うようになってからは、しっかりとした構成に基づいて絵を描けるようになって、それは見た人もこれは独特の絵だと言ってくれるようになったし、僕自身も自分の気持ちを表現できるようになった気持ちになって、それからは絵を描くのがとても楽しくなりました。

集中することが必要なので、結構学校時代は気持ちが塞ぎ混んでいたりすると、全然描けなくて、本当に絵が描けるのは限られた時間だった時期もあるのですが、それでも絵を描くと、僕らしくなれたような気がして、やっぱり大事な絵でした。それから絵をいっぱい描いているうちに、いろいろな人との関係ができてきたので、これがかろうじて僕に残された社会への通路だというような感覚になってきたところで、先生に出会えましたから、そういうものをもとに、社会につながっていけるんだということが、強く考えられるようになったし、お母さんにも、色々な考えを言いながら描くようになったので、絵の意味が伝わるようになったので、こうやって、さらに次の発展がしっかりとつなげられるようになったかなと思います。

 

らいち)(神山さん通訳)

それはまさに僕にとっての勉強するのと一緒なので、今聞いていて、鳥肌が立ちました。だから、勉強とかっていう言葉では片付けられないし、玲の絵の話を聞くと同じ感じになってきているので、やりたいことを続けていくことって簡単ではない面があるかもしれませんが、すごく大事だなと思うし、その中で、自分のことをもっと知ったり、人と関わる中で、自分がどんどん広がっていくというか、豊かになっていくような、すごく全くおんなじことなんだなあと思いました。そういう意味では、RAY君と本質的には同じことをやっていると思えたのが嬉しかったです。以上

 

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